ITとAIで声の状態がわかる? VoiceMindが目指す声の見える化
VoiceMindは声の物理的特性を解析し、12種類の心理的な傾向×3つの意識レベル=36個の状態指標で「今の自分の声」を可視化するサービスです。使い方や技術的な仕組み、活用シーンをやさしく解説します。
声から「今の自分」を見る
「今日、なにかありました?」——人の耳は大変に高性能で、発せられた声のわずかな変化も逃さず捉えることができます。その背景には「周波数の違い」があります。
VoiceMind(ボイスマインド)は、そんな発想から生まれた音声分析サービスです。スマホやPCに向かって短いフレーズを話すだけで、あなたの「今の声の状態」をチャートや数字で見ることができます。
VoiceMindでできること
VoiceMindの使い方はとてもシンプルです。
- スマホやPCでマイクに向かって話す(7秒程度)
- 音声を送信
- 結果がチャートや数値付グラフで表示される
声から何がわかるの?——「12の心理的な傾向」という考え方
人の声には、話している内容とは別に、話し方・声の響き・抑揚といった「非言語情報」が含まれています。緊張しているときの声、リラックスしているときの声、怒っているときの声——聞き比べれば違いがわかります。
VoiceMindは、この声の「質」を解析して、12の心理的な傾向として整理し、見える化します。
- 行動系:行動力や感情表現、本能的な反応、存在感の出方
- 関係系:自己主張や同調性、調和・順応の仕方
- 認知系:思考や分析のモード、感覚の使い方、社会との関わり方
意識の「3つの層」って?
VoiceMindの特徴は、それぞれの特性を3つの意識レベルで分けて見られることです。
- 深層(無意識層):自分では気づきにくい、本能的・反射的な反応(潜在意識)
- 中層(前意識層):なんとなく感じているけど、まだ言葉にしていない状態
- 表層(意識層):自覚して外に表現している状態(顕在意識/表層意識)
フロイトの「意識・前意識・無意識」モデル
この3層の考え方の背景には、心理学者フロイトのモデルがあります。フロイトは、心の働きを次の3つに分けました。
- 意識:今、はっきりと自覚している思考や感情。「お腹がすいた」「眠い」など
- 前意識:今は意識していないけれど、思い出そうと思えばすぐに上がってくる内容
- 無意識:普段は意識に上がってこない衝動や記憶、欲求が蓄積している領域
VoiceMindにおける「3層」の位置づけ
VoiceMindの3層は、古典的な心理学モデルをそのまま再現するものではなく、実務的な観点で定義されています。
- 深層(無意識層):声の低めの成分や、抑えようとしても残りやすい揺らぎなど、意図しにくい部分を主に見る層
- 中層(前意識層):意識と無意識の中間として、「なんとなく」や「雰囲気」、「癖」、「習慣」のようなものが表れやすい層
- 表層(意識層):話し方・言い回し・テンポなど、意図してコントロール可能な部分が反映されやすい層
裏側では何が起きているの?
録音された7秒ほどの音声は、サーバー側で一時的に2種類の中間データへと変換されます。
- 周波数ごとの「生データ寄り」のファイル:音声を細かい時間幅に区切り、高速フーリエ変換(FFT)をかけ、周波数帯ごとの強さを行列データとして保存
- 12の心理的な傾向ごとに整理した「集約データ」のファイル:各傾向に対応するスロットに集約し、12傾向×3層=36個の状態指標として整理
活用シーン1:日々のセルフチェックに
朝起きたとき、仕事前、寝る前——1日のどこかで声を録音するだけで、自分のコンディションを振り返る習慣が作れます。日記をつけるのが苦手な人でも、声を残すだけなら続けやすいはずです。気合を入れて臨む必要はありません。
活用シーン2:声の表現のトレーニングに
「こういう意識で発声したら、チャートはどう変わるだろう?」という実験にも使えます。人前で話す機会が多い方、また動画配信/音声配信を行う方にとっては、伝えたい印象に近い声の出し方や、自分らしさを保ったまま無理なく話すスタイルを探るためのフィードバックツールとして活用できます。
活用シーン3:対話セッションの前後に
対話だけでは見えにくい内面を、チャートという客観的な素材を通じて一緒に眺めることができます。「この状態、どう感じますか?」という問いかけから、新しい気づきが生まれることもあります。
結果の見方のコツ
VoiceMindの結果を見るときは、数値の絶対的な高低よりも、バランスと変化に注目するのがおすすめです。
- 層ごとの差:深層と表層に大きなギャップがあるか、それは自分の感覚とどうずれているか
- 特性のバラつき:特定の特性だけ突出していれば、そこに意識やエネルギーが集中している可能性
- 時系列の変化:同じ時間帯・同じ状況で定期的に測ると、自分のリズムやパターンが見えてくる
プライバシーへの配慮
VoiceMindではプライバシーへの配慮とシステム最適化の観点から、生の音声データの一切を保存していません。
- 音声は解析後、即座に破棄されます。一切の音声はサーバーに残りません
- 結果データは解析後の数字の羅列として保存し、そこからチャートを描画します
- 個人を特定できる情報は取得しない設計です
これからの展望
VoiceMindは現在も進化中です。今後は以下のような機能を予定しています。
- 音声分析AIによるフィードバック:結果チャートの見方について、わかりやすいコメントを音声分析AI(GPT)が生成する機能
- 履歴管理:一連の音声分析結果を保存して履歴管理したり、その時の状況をメモできる機能
- 音声検索:自分と似たような傾向を持つユーザー音声や、指定した特性をもつ音声を検索できる機能(※各ユーザーが公開設定した音声結果のみ対象)
まとめ:声は「今の自分」を映す鏡
私たちは毎日たくさんの言葉を発していますが、その声そのものに意識を向けることはあまり多くありません。
VoiceMindは、声を通じて自分自身と向き合うきっかけを提供するサービスです。性格や能力を決めつける診断ではなく、あくまで「今の状態の傾向」を知るための気づきのヒントとして活用してもらえたらうれしいです。
気になった方は、ぜひ一度試してみてください。自分の声が、思った以上に多くのことを語っていることに驚くかもしれません。